厚生労働省が発表した最新の統計調査により、家計の厳しさが改めて浮き彫りとなりました。2025年11月の実質賃金は前年同月比2.8%減となり、11カ月連続でマイナスを記録しています。名目上の給与が増えていても、それを上回るスピードで物価が上昇し続けているため、私たちの購買力は低下し続けているのが現状です。
「昇給はあったはずなのに、なぜか毎月の生活苦しいと感じる……」といった声が世間に溢れています。働いても生活が楽にならないこの状況は、一体いつまで続くのでしょうか。なぜ改善の兆しが見えないのか、あなたも疑問に思ったことはありませんか?本記事では、実質賃金マイナスの正体と、今後の生活への影響を詳しく深掘りします。
この記事の要点
- 2025年11月の実質賃金は2.8%減で、11カ月連続のマイナス。
- 名目賃金の伸びが市場予想を大幅に下回り、物価高に追いついていない。
- ボーナス(特別に支払われた給与)が17.0%減となり、総額を押し下げた。
- 食品の値上げは2025年で2万品目を超え、高止まりの状態が続いている。
1. ニュース概要:実質賃金11カ月連続マイナスの衝撃
2026年1月、厚生労働省が公表した「毎月勤労統計調査(2025年11月分速報)」は、多くの生活者に衝撃を与えました。物価の変動を加味した「実質賃金」が前年同月比で2.8%減少したのです。これにより、2025年は年初から一度もプラスに転じることなく、11カ月連続のマイナス行進となりました。
名目賃金(現金給与総額)自体は0.5%増と、数字の上では増えています。しかし、消費者物価指数の上昇幅がそれを大きく上回っているため、実質的な「買える量」は減り続けています。買い物かごの中身が以前より少なくなっている、あるいは質を落とさざるを得ない状況が統計データとして証明された形です。
2. 発生した背景・社会的要因
実質賃金がこれほどまでに低迷を続けている背景には、二つの大きな要因があります。一つは、持続的な物価上昇です。原材料費の高騰に加え、物流コストや人件費の転嫁が最終製品価格に及んでおり、特に生活必需品の値上げが止まりません。
もう一つの要因は、賃金側の伸び悩みにあります。11月は名目賃金の伸びがわずか0.5%にとどまりました。これは事前の市場予想(2.3%程度)を大きく下回る数字です。春闘などで「賃上げ」が叫ばれ、一部の大企業では大幅な昇給が実現したものの、日本経済の大部分を占める中小企業や、賞与(ボーナス)の変動に依存する業種では、物価高をカバーできるほどの収入増に至っていないことが浮き彫りになりました。
3. 影響を受けた生活者・地域の声
現場の生活者からは、切実な声が上がっています。都内で共働きをする30代の主帯主は「給与明細の総額は数千円増えたが、スーパーでの支払いが毎回1.5倍近くになっている感覚。結局、貯金に回す余裕がなくなった」と語ります。地方都市に住む高齢世帯からも「年金やパート代が変わらない中で、電気代と食品価格だけが上がり、生活を切り詰めるしかない」という悲鳴に近い声が聞こえてきます。
特に打撃を受けているのは、支出に占める食費の割合(エンゲル係数)が高い世帯です。これまで「節約」で対応してきた層も、これ以上の削りどころが見当たらない限界点に達しつつあります。生活苦しいという実感は、単なる主観ではなく、日々の家計管理における切実な問題となっています。
4. 金額・人数・生活負担への影響
具体的な数字で見ると、今回の統計では「特別に支払われた給与(ボーナス等)」が前年比17.0%減と大幅に落ち込んでいます。これが名目賃金全体の伸びを強く抑制しました。毎月の所定内給与(基本給)は2.0%増と一定の伸びを見せていますが、ボーナスの減少がそのプラス分を打ち消してしまった形です。
物価面では、2025年中に値上げされた食品は累計2万609品目に達しました。一世帯あたりの年間負担増は数万円単位にのぼると推計され、特に子育て世帯や低所得世帯における実質的な生活余力は、統計以上のダメージを受けている可能性があります。5人以上の事業所すべてを対象としたこの調査結果は、ほぼすべての労働者がこの「目減り」の影響下にあることを示唆しています。
5. 行政・自治体・関係機関の対応
政府はこれまでも、物価高対策として電気・ガス料金の補助金投入や、低所得世帯への給付金支給を行ってきました。しかし、これらはあくまで一時的な「止血」に過ぎず、根本的な解決である「物価上昇を上回る持続的な賃上げ」には至っていません。
各自治体では、独自のプレミアム付商品券の発行や、学校給食費の無償化・補助などを通じて、家計の負担軽減を図っています。しかし、自治体間の財政格差によって支援内容に差が出ていることも課題です。厚生労働省や経済産業省は、中小企業の価格転嫁を支援する枠組みを強化していますが、賃金への還元には時間差があり、生活者の実感には結びつきにくい状況です。
6. 専門家の分析:なぜ改善されないのか
経済専門家は、現在の状況を「コストプッシュ型インフレと賃金硬直性の板挟み」と分析しています。原材料高による物価上昇は、企業が利益を上げにくい構造を生みます。そのため、企業は固定費である賃金を大幅に引き上げることに慎重にならざるを得ません。
また、労働市場の二極化も指摘されています。人手不足が深刻なITや専門職では賃金が上がりますが、サービス業や小売業などでは価格転嫁が進まず、賃上げ原資が確保できていません。専門家は「消費者が値上げを受け入れざるを得ない状況にある一方で、購買力が低下しているため、景気後退を伴うインフレ(スタグフレーション)に近い状態を警戒すべき」と警鐘を鳴らしています。
7. SNS・世間の反応:生活者の実感
SNS上では、ハッシュタグ「#生活苦しい」を伴う投稿が日々増加しています。 「11カ月連続マイナスなんて、もう驚きもしない。絶望しかない」 「政府は賃上げと言っているが、自分の周りで給料が上がった人を見たことがない」 「コンビニの弁当がどんどん小さくなって、値段だけ上がる『ステルス値上げ』が一番きつい」
ネット上の意見で目立つのは、統計上の「名目賃金増」に対する違和感です。一部のプラスが平均を押し上げているだけで、自分たちの生活は置いてけぼりにされているという疎外感が広がっています。また、将来への不安から消費を極端に控える「防衛的行動」が、さらなる景気の冷え込みを招く悪循環を懸念する声も多く見られます。
8. 今後の見通し:生活への広がり
今後の展望については、やや明るい兆しと厳しい現実が混在しています。民間調査によると、2026年1月〜4月の食品値上げ予定品目数は、前年同期比で約4割減少する見通しです。値上げのラッシュ自体は、一時期ほどの勢いを失う可能性があります。
しかし、重要なのは「価格が下がるわけではない」という点です。一度上がった価格水準は維持され、賃金がそれを追い越さない限り、生活苦しい状況は解消されません。また、企業側が「これ以上の値上げは消費を冷え込ませる」と判断し、賃上げを抑制する動きに出るリスクもあります。2026年後半にかけて、春闘の結果がどれだけ地方や中小企業まで波及するかが、実質賃金プラス転換の鍵を握ることになるでしょう。
FAQ:よくある疑問
- Q1. 実質賃金がマイナスだと、具体的にどう困るの?
- A. 給料の額面が変わらなくても、買えるものの量が減ることを意味します。例えば、今まで1,000円で買えたランチが1,200円になれば、実質的な価値が目減りし、他の支出を削らなければならなくなります。
- Q2. なぜ給料は上がっているのに生活が苦しいの?
- A. 今回の調査では、基本給(所定内給与)は上がっていますが、物価の上昇率に追いついていないためです。また、11月はボーナスなどの特別給与が大幅に減ったことも、家計を圧迫する要因となりました。
- Q3. 食品の値上げはいつまで続く?
- A. 2026年に入り、値上げのペース自体は鈍化する見通しです。ただし、人件費や物流費のコストは依然として高いため、以前のような低価格に戻ることは難しいと考えられます。
まとめ:生活者視点の結論
「給料が増えたのに生活苦しい」という実感は、11カ月連続の実質賃金マイナスという統計によって裏付けられました。物価高の波は依然として高く、家計の購買力は奪われ続けています。2026年は値上げの頻度こそ落ち着く可能性がありますが、高止まりした生活コストに対して、いかに安定した賃上げを勝ち取れるかが個人の生活防衛の焦点となります。家計の見直しと共に、公的な支援制度や今後の賃上げ動向を注視していく必要があります。
