あなたも、北海道産の高級ナマコは中国や香港で人気が高く、「海外需要が強ければ安定して売れ続ける」と思っていませんでしたか?
実は、北海道産天然ナマコの加工・販売を手がけてきた株式会社海王物産が事業を停止し、札幌地裁に自己破産を申請しました。
同社は中国・香港向けの輸出を主力として成長し、2018年5月期には年売上高約18億1200万円を計上していました。しかし、コロナ禍による輸出停滞に加え、中国による日本産水産物の輸入規制が大きな打撃となり、2025年5月期の売上高は約7億4000万円まで縮小しました。
負債は約15億3200万円とされており、海外市場への依存度が高い事業が、外部環境の急変によって大きな影響を受けた事例といえます。
この記事では、「海王物産の自己破産」「ナマコ輸出と中国の禁輸措置」「負債約15億円」について、確認できる事実を基に詳しく解説します。
・海王物産は2026年8月31日に事業を停止
・9月2日に札幌地裁へ自己破産を申請
・負債は約15億3200万円
・2018年5月期には売上高約18億1200万円を計上
・コロナ禍と中国の日本産水産物輸入規制が業績を直撃
・中国・香港向け輸出への依存が経営リスクとなった可能性
事案概要
今回の海王物産の自己破産は、海外市場への輸出を成長の柱としてきた水産加工会社が、国際情勢や輸入規制の変化によって大きな影響を受けた事例として注目されます。
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まずは、現時点で確認できる基本情報を整理します。
基本情報チェックリスト
☑ 会社名:株式会社海王物産
☑ 所在地:北海道札幌市西区
☑ 業種:北海道産天然ナマコの加工・販売・輸出
☑ 設立:2007年6月
☑ 事業停止:2026年8月31日
☑ 法的手続き:2026年9月2日に札幌地裁へ自己破産を申請
☑ 負債:約15億3200万円
☑ 主力商品:北海道産天然の塩蔵ナマコ、乾燥ナマコなど
☑ 主な輸出先:中国・香港
海王物産は北海道産天然ナマコを自社工場で加工し、塩蔵ナマコや乾燥ナマコなどを主に中国・香港向けに販売していました。
国内向けにはインターネット通販にも取り組み、ナマコ関連商品以外の事業も展開していました。
事件詳細と時系列
海王物産は一時、海外での北海道産ナマコ人気を追い風に売上を伸ばしていました。しかし、2020年以降、事業環境は大きく変化していきます。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2007年6月 | 海王物産を設立。北海道産天然ナマコの加工・販売などを展開 |
| 2018年5月期 | 中国・香港でのナマコ需要などを背景に、年売上高約18億1200万円を計上 |
| 2020年以降 | コロナ禍の影響によって輸出が停滞 |
| 2021年5月期 | 年売上高が約7億円まで落ち込む |
| 2023年8月 | 中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止し、中国向け輸出に大きな影響 |
| 2025年5月期 | 年売上高は約7億4000万円にとどまる |
| 2026年8月31日 | 事業を停止 |
| 2026年9月2日 | 札幌地裁へ自己破産を申請 |
特に注目されるのが、売上規模の変化です。2018年5月期の約18億1200万円から、2025年5月期には約7億4000万円となっており、ピーク時と比較すると約6割減少しています。
一時的な不振ではなく、数年にわたって厳しい事業環境が続いていたことが分かります。
背景分析と類似事例
海王物産の経営悪化を考えるうえでは、単純な「ナマコの売上減少」だけではなく、海外輸出を取り巻く環境が短期間で大きく変化した点を見る必要があります。
コロナ禍による輸出停滞
最初の大きな変化が2020年以降のコロナ禍です。
人や物の国際的な移動が制限されるなか、同社の主力だった海外向け販売にも影響が及び、2021年5月期の売上高は約7億円まで低下しました。
2018年5月期に約18億1200万円を売り上げていたことを考えると、事業規模は短期間で大幅に縮小したことになります。
中国の日本産水産物輸入規制が追い打ち
さらに大きな転機となったのが、2023年8月に中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止したことです。
海王物産は中国・香港向けのナマコ輸出を主力としていたため、中国市場へのアクセスが制限されることは販売面で大きな問題となりました。
その後も業績の大幅な回復には至らず、2025年5月期の売上高は約7億4000万円にとどまりました。
売上高と負債額を比較
数字を並べると、同社が置かれていた状況がより分かりやすくなります。
| 項目 | 金額 | ポイント |
|---|---|---|
| 2018年5月期売上高 | 約18億1200万円 | 中国・香港での需要を背景に事業を拡大 |
| 2021年5月期売上高 | 約7億円 | コロナ禍による輸出停滞などで大幅減収 |
| 2025年5月期売上高 | 約7億4000万円 | 中国向け輸出低迷などからピーク時の水準に戻らず |
| 負債 | 約15億3200万円 | 最終的に自己破産申請へ |
この推移から見えてくるのは、特定の海外市場に依存するビジネスの難しさです。
輸出型の水産加工会社では、商品の品質や販売力だけでなく、相手国の輸入制度、外交関係、物流、為替など、自社ではコントロールできない要因によって販売環境が変わる可能性があります。
海王物産の事例も、外部環境の急変が輸出企業の経営に与える影響の大きさを示すケースといえるでしょう。
現場対応と社会的反響
海王物産は2026年8月31日に事業を停止し、その後、札幌地裁へ自己破産を申請しました。
自己破産の申請後は、裁判所による審査を経て破産手続開始決定が出た場合、選任された破産管財人が会社の資産や債権・債務などを調査し、法律に基づいて処理を進めることになります。
一方、今回のケースは北海道の水産業にとっても注目される問題です。北海道産ナマコは中国市場で高い需要を得てきましたが、輸入規制などが発生すると、海外向け比率の高い事業者ほど影響を受けやすくなります。
なお、従業員数や個別の取引先への影響、今後の資産処分などについては、現時点で公表されている情報だけでは明らかになっていません。
FAQ
Q1.海王物産は倒産したのですか?
海王物産は2026年8月31日に事業を停止し、9月2日に札幌地裁へ自己破産を申請しています。自己破産申請は、裁判所に破産手続開始を求める段階です。
Q2.負債はいくらですか?
報道されている負債額は約15億3200万円です。
Q3.なぜ経営が悪化したのですか?
2020年以降のコロナ禍による輸出停滞に加え、2023年8月に中国が日本産水産物の輸入を全面的に停止したことで、主力だった中国向け輸出が低迷したことなどが背景として報じられています。
Q4.以前はどれくらい売上があったのですか?
2018年5月期には年売上高約18億1200万円を計上していました。その後、2021年5月期には約7億円、2025年5月期には約7億4000万円となっています。
Q5.中国以外では販売していなかったのですか?
中国・香港向け輸出を主力とする一方、国内では自社ホームページやインターネット通販などを通じた販売も手がけていました。
Q6.今後、事業が再開される可能性はありますか?
現時点で事業再開についての具体的な情報は確認されていません。今後は破産手続の進展や資産・事業の取り扱いなどが注目されます。
倒産回避の可能性はあったのか
今回のケースでは、中国・香港向けという大きな市場を軸に成長していたことが強みである一方、その市場環境が急変した際の影響も大きくなったと考えられます。
公表情報だけでは社内の資金繰りや取引条件などを確認できないため、以下はあくまで一般的な経営上の選択肢として考えられる内容です。
・中国・香港以外の輸出市場を早期に開拓する
・国内販売やEC販売の比率を高める
・輸入規制が長期化する前提で仕入れや在庫量を調整する
・ナマコ以外の商品による収益源を育てる
・売上急減の段階で固定費や借入返済負担を再検証する
・金融機関などと早期に資金繰りや再建策を協議する
海外市場の分散
今回の事例で特に重要だったと考えられるのが、販売先の分散です。
中国向け販売が大きな収益源になっていた場合、中国市場の拡大期には効率よく成長できます。しかし、輸入規制のような事態が発生すると、売上全体への影響も大きくなります。
東南アジアなど別の海外市場や国内の高級食材市場への販路を早い段階から広げていれば、一つの国の規制による影響を抑えられた可能性があります。
国内販売の強化
同社はインターネット通販も展開していました。
こうした国内販売をさらに強化し、飲食店、ホテル、百貨店、ギフト需要など複数の販売経路を確保することも、輸出減少への備えの一つとして考えられます。
ただし、高級ナマコは中国圏での需要が大きい商品であるため、海外販売の減少分を国内需要だけで補えたかどうかは、公表情報から判断できません。
輸入規制長期化を前提とした事業再構築
2023年8月の輸入規制は、企業単独の努力で解決できる問題ではありません。
そのため規制解除を待つだけではなく、長期化する可能性を前提として、在庫、仕入れ、設備稼働、固定費、借入返済などを見直すことが重要になります。
売上規模に合わせて事業全体を早期に再構築できれば、資金流出を抑えられた可能性があります。
倒産回避策の優先順位
海王物産のように、主力輸出市場が急速に縮小したケースでは、単純な売上拡大策よりも、まず資金流出を抑えながら新しい販路を確保することが重要になります。
| 優先度 | 対策 | 目的 |
|---|---|---|
| 最優先 | 輸入規制長期化を前提とした資金繰りの再計算 | 手元資金がいつまで維持できるかを把握し、早期対応につなげる |
| 高 | 仕入れ・在庫・固定費の圧縮 | 輸出減少に合わせて資金流出を抑える |
| 高 | 金融機関などとの早期協議 | 返済条件の見直しや再建に必要な時間を確保する |
| 中 | 中国以外の海外市場を開拓 | 特定国への販売依存度を下げる |
| 中 | 国内EC・業務用販売を強化 | 輸出以外の売上を増やす |
| 中長期 | 商品・地域・顧客の分散 | 将来の輸入規制や市場変化に耐えられる事業構造をつくる |
もちろん、これらの対策を講じていれば、必ず破産を回避できたと断定することはできません。
特に今回のような海外政府による輸入規制は、一企業ではコントロールできない外部要因です。また、企業内部の借入状況、在庫、資金繰り、取引条件などは公表情報だけでは分かりません。
それでも、売上減少が長期化する早い段階で販売地域の分散、国内販路の強化、在庫や固定費の調整、金融機関との協議などを進めることで、資金繰り悪化を抑え、事業継続の選択肢を増やせた可能性はあります。
まとめと今後の展望
海王物産は、北海道産天然ナマコを中国・香港向けに販売することで事業を拡大し、2018年5月期には約18億1200万円の売上高を計上していました。
しかし、コロナ禍による輸出停滞に続き、中国による日本産水産物の輸入規制が重なり、2025年5月期の売上高は約7億4000万円まで縮小。2026年8月31日に事業を停止し、9月2日に札幌地裁へ自己破産を申請しました。
今回の事例から見えてくるポイント
・海外市場への集中は成長力になる一方、規制発生時のリスクも大きい
・売上が急減した場合は、回復を待つだけでなく事業規模の見直しも重要になる
・輸出企業では国や地域、販売チャネルを分散することが経営リスクの軽減につながる
社会への警鐘
今回のケースは、商品そのものに需要があっても、国際情勢や輸入制度の変更によって販売ルートが突然狭まる可能性があることを示しています。特に特定の国や市場への依存度が高い企業では、「売れている時期」から次の販路を育てておくことが重要といえるでしょう。
最後に
北海道の海で育ったナマコを加工し、海を越えて海外へ届けることで成長してきた海王物産。その歩みを大きく変えたのは、商品力だけでは乗り越えることが難しいコロナ禍や輸入規制という外部環境でした。
2018年5月期には約18億円を超える売上高を計上していた企業が、その後の市場環境の変化によって自己破産申請に至った事実は、企業経営における「販路分散」の重要性を改めて浮き彫りにしています。
北海道の水産物は国内だけでなく海外でも高く評価されています。だからこそ、一つの市場に頼りすぎず、複数の国や国内市場へ販売先を広げていくことが、北海道の水産業を守るうえでも重要な課題になりそうです。





