あなたも、地域で長く親しまれてきた寿司店なら、「固定客に支えられ、安定した営業が続くのではないか」と思っていませんでしたか?
実は、「呉竹鮨松江本店」などを運営していた株式会社くれたけと、臨床検査を手掛ける有限会社エフエムエルサービスは、2026年7月30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。
2社の負債総額は約13億1000万円です。エフエムエルサービスではPCR検査の特需終了によって売上高が急減し、くれたけでは集客低下や食材価格の上昇、価格転嫁の遅れなどが重なりました。
この記事では、「エフエムエルサービスとくれたけの破産」「呉竹鮨の閉店理由」「PCR検査特需終了後の経営悪化」「2社の負債総額」「今後の破産手続き」について、確認できる事実を基に詳しく解説します。
・エフエムエルサービスとくれたけが破産開始決定
・2社の負債総額は約13億1000万円
・PCR検査特需の終了後に売上高が急減
・飲食店では集客低下と食材価格上昇が収益を圧迫
・呉竹鮨松江本店は前日昼まで営業した後に突然閉業
・需要減少を想定した早期の事業縮小や資金管理が焦点
事案概要
今回の破産は、感染症関連の一時的な需要に依存した事業と、コスト上昇に直面する地域飲食店の双方が抱える経営リスクを示す事例として注目されます。
現時点で確認できる2社の基本情報を整理します。
基本情報チェックリスト
☑ 会社名:有限会社エフエムエルサービス
☑ 所在地:鳥取県鳥取市
☑ 主な事業:臨床検査、医薬品販売など
☑ 設立:1995年7月
☑ 法的手続き:2026年7月30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定
☑ 負債総額:約10億6000万円
関連会社の基本情報
☑ 会社名:株式会社くれたけ
☑ 主な事業:寿司店、焼肉店、うどん店、中華料理店などの運営、精肉販売
☑ 設立:2017年7月
☑ 法的手続き:2026年7月30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定
☑ 負債総額:約2億5000万円
東京商工リサーチの発表によると、2社の負債総額は合計で約13億1000万円に上ります。
くれたけは、島根県松江市の「呉竹鮨松江本店」や鳥取市の店舗をはじめ、複数業態の飲食店を展開していました。
事件詳細と時系列
今回の破産は突然表面化したように見えますが、エフエムエルサービスでは事業構成の変化やPCR検査需要の急減、くれたけでは飲食店の採算悪化が段階的に進んでいました。
両社の設立から破産開始決定までの流れを、時系列で整理します。
時系列フロー
1995年7月 エフエムエルサービスを設立し、臨床検査などの事業を展開
2017年7月 飲食店運営などを手掛けるくれたけを設立
2017年9月期 エフエムエルサービスが過去最高となる売上高11億2000万円を計上
2018年1月 調剤薬局事業を関連会社へ移管
2019年9月期 事業移管の影響などにより、売上高が2億9000万円へ減少
2022年9月期 PCR検査需要の増加により、売上高が7億円まで回復
2023年9月期 補助金の効果もあり、売上高10億円を計上
2024年9月期 PCR検査関連の売上減少により、売上高が4億5000万円へ急減
2024年6月期 くれたけは売上高4億円を計上したものの、赤字が続く
2025年9月期 エフエムエルサービスの売上高が2億9500万円へ低下し、438万円の赤字を計上
2026年7月29日 呉竹鮨松江本店が昼の営業を行った後、営業を終了
2026年7月30日 エフエムエルサービスとくれたけが破産手続き開始決定を受ける
エフエムエルサービスは、新型コロナウイルスの感染拡大期にPCR検査の需要増加で業績を回復させました。
しかし、感染状況が落ち着き、PCR検査関連の売上がなくなると、2023年9月期に10億円あった売上高は、2025年9月期に2億9500万円まで縮小しました。
検査件数の減少に加え、業況が低迷していた関連会社への貸付金が増加したことで、資金繰りが悪化したと報じられています。
呉竹鮨は前日まで営業していた
くれたけが運営していた呉竹鮨松江本店では、破産開始決定の前日に当たる2026年7月29日の昼まで、通常どおり営業が行われていました。
翌30日に店舗を訪れた報道関係者が確認したところ、店頭には臨時休業の貼り紙が掲示されていました。
納入業者や従業員にも直前まで詳しい状況が伝わっていなかったとされ、地域で親しまれてきた店舗の突然の閉業に驚きが広がりました。
背景分析と類似事例
両社の破産原因は同一ではありません。エフエムエルサービスは一時的な検査需要の消失、くれたけは飲食店の集客低下や原価上昇が主な問題となりました。
一方で、収益環境が悪化した関連会社同士の資金的な結び付きが、グループ全体の経営を不安定にした点は重要です。
| 比較項目 | エフエムエルサービス | くれたけ |
|---|---|---|
| 主な事業 | 臨床検査、医薬品販売など | 寿司店などの飲食店運営、精肉販売 |
| 確認された売上高 | 2023年9月期10億円から、2025年9月期2億9500万円へ減少 | 2024年6月期4億円 |
| 負債総額 | 約10億6000万円 | 約2億5000万円 |
| 主な経営悪化要因 | PCR検査需要の消失、検査件数減少、関連会社への貸付金増加 | 集客率低下、食材価格上昇、価格転嫁の遅れ、赤字継続 |
| 実施した対応 | 詳しい再建策は明らかになっていない | 不採算店舗の閉鎖などを実施 |
| 最終的な対応 | 破産手続き開始決定 | 関連会社に連鎖する形で破産手続き開始決定 |
PCR検査特需を通常需要とみなす危険性
PCR検査の需要は、感染拡大という特殊な状況によって生まれたものであり、長期間にわたり同じ水準が続くとは限りません。
エフエムエルサービスの売上高は、2023年9月期の10億円から2024年9月期には4億5000万円となり、1年間で半分以下に減少しました。
さらに2025年9月期には2億9500万円へ落ち込み、特需終了後の収益源を確保できなかった影響が表れています。
一時的な需要で売上が急増した企業では、その利益を固定費や恒常的な支出へ振り向けすぎると、需要消失後に資金繰りが急速に厳しくなる可能性があります。
飲食業を直撃する食材価格と価格転嫁の問題
くれたけでは各店舗の集客率が低下する一方、食材価格の上昇分を販売価格へ十分に転嫁できなかったとされています。
寿司店では鮮魚や米、海苔など幅広い食材を使用するため、複数の仕入れ価格が同時に上昇すると、売上が維持されていても利益が減少する場合があります。
価格を引き上げれば客離れを招く可能性がある一方、価格を据え置けば利益率が低下するため、地域の飲食店にとって価格改定は難しい判断となります。
関連会社への貸付金が増加した影響
エフエムエルサービスでは、業績が低迷していた関連会社への貸付金が増加したと報じられています。
グループ会社への資金支援は事業を維持する手段となる一方、支援元の本業まで悪化している場合、グループ全体の手元資金を減少させる可能性があります。
今回の詳しい貸付条件や回収見通しは公表されていませんが、関連会社への資金流出が資金繰り悪化の一因になったとみられます。
現場対応と社会的反響
破産手続き開始決定後は、破産管財人が2社の資産や負債、債権者の状況などを調査し、法令に基づいて換価や配当の手続きを進めることになります。
店舗の予約、商品券、前払い金、取引先への未払い代金などの取り扱いについては、破産管財人からの正式な案内を確認する必要があります。
従業員への影響
店舗が突然営業を終了したことで、従業員の雇用や未払い賃金の有無も今後の焦点となります。
報道では、従業員も破産について直前に知らされたとする関係者の説明が伝えられていますが、従業員数や雇用対応の詳細は明らかになっていません。
未払い賃金が発生している場合は、破産手続きのほか、要件を満たせば未払賃金立替払制度の対象となる可能性があります。
取引先や納入業者への影響
飲食店には、鮮魚、精肉、野菜、酒類、備品などを納入する地域事業者が関わっています。
突然の閉業によって売掛金が回収できない場合、取引規模によっては納入業者側の資金繰りにも影響が及ぶ可能性があります。
債権を持つ取引先は、破産管財人から送られる書類や裁判所の案内を確認し、期限内に債権届出を行うことが重要です。
利用者や地域への影響
呉竹鮨松江本店は、地域住民だけでなく観光客にも利用されてきた寿司店でした。
長年親しまれてきた店が事前の告知なく営業を終えたことで、予約を予定していた利用者や常連客にも混乱が生じる可能性があります。
店舗の営業再開や第三者への事業譲渡については、現時点で具体的な発表は確認されていません。
経営上の一般的な見方
PCR検査のような一時的需要で収益が急増した場合は、需要が失われる複数の時期を想定し、固定費や資金支援の上限を事前に決める必要があります。飲食事業では、食材価格の上昇を商品別の原価率へ早期に反映し、不採算店舗の縮小時期を見極めることが重要です。
ネット上で注目されやすい点
・前日の昼まで営業していた店舗が突然閉業した経緯
・PCR検査特需終了後に売上高が急減した影響
・臨床検査会社と飲食会社の間で発生した連鎖倒産
・従業員や納入業者への事前説明の状況
・地域で親しまれた寿司店の今後
FAQ
Q1:エフエムエルサービスはどのような会社でしたか?
A1:鳥取市を拠点に、医療機関から受託した臨床検査や医薬品販売などを手掛けていた会社です。新型コロナウイルスの感染拡大期には、PCR検査需要によって売上高が回復していました。
Q2:くれたけはどのような会社でしたか?
A2:「呉竹鮨松江本店」や鳥取市の店舗をはじめ、寿司店、焼肉店、うどん店、中華料理店などの飲食店運営と精肉販売を手掛けていました。
Q3:2社はいつ破産しましたか?
A3:エフエムエルサービスとくれたけは、2026年7月30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。
Q4:負債総額はいくらですか?
A4:エフエムエルサービスが約10億6000万円、くれたけが約2億5000万円で、2社合計では約13億1000万円です。
Q5:破産の主な原因は何ですか?
A5:エフエムエルサービスではPCR検査需要の消失や検査件数の減少、関連会社への貸付金増加が資金繰りに影響しました。くれたけでは集客低下、食材価格上昇、価格転嫁の遅れ、赤字継続などが重なったとされています。
Q6:呉竹鮨松江本店は再開しますか?
A6:営業再開や事業譲渡についての具体的な情報は、現時点では明らかになっていません。今後は破産管財人による資産確認や事業の取り扱いが焦点となります。
倒産回避の可能性はあったのか
今回の破産は、エフエムエルサービスにおけるPCR検査需要の急減と関連会社への資金支援、くれたけにおける集客低下や原価上昇が重なった結果とみられます。
経営環境が悪化し始めた段階で対応していれば、資金繰り悪化を抑え、事業継続の選択肢を増やせた可能性があります。
報道された情報の範囲から、両社が当時取り得た可能性のある対策を整理します。
・PCR検査需要がなくなる複数の時期を想定する
・検査事業の固定費を通常需要に合わせて縮小する
・関連会社への貸付額と支援期間に上限を設定する
・飲食店ごとの原価率と営業利益を早期に把握する
・価格改定と不採算店舗の整理を段階的に進める
・資金不足が深刻化する前に事業譲渡やスポンサーを探す
特需終了を前提とした縮小計画を準備する
エフエムエルサービスでは、PCR検査需要によって2023年9月期の売上高が10億円まで回復しましたが、その翌期には4億5000万円へ減少しました。
PCR検査の需要は感染状況や公的支援に左右されるため、売上が急増した段階で、需要が半減する場合や完全になくなる場合の事業計画を作成する必要があったと考えられます。
検査件数の減少に合わせて人員、設備、外注費、事業所費用などを段階的に調整できていれば、損益分岐点を引き下げられた可能性があります。
関連会社への貸付を早期に見直す
業況が悪化した関連会社を支援し続けると、支援元企業の手元資金まで減少する危険があります。
貸付金額の上限、返済期限、支援を終了する条件を設定し、回収が難しいと判断した時点で事業再編や第三者への譲渡を検討する方法も考えられます。
関連会社の事業を守るための貸付であっても、本業の資金繰りを圧迫している場合は、グループ全体の存続を優先した判断が必要です。
店舗別の採算管理と価格改定を進める
くれたけでは不採算店舗の閉鎖を進めていましたが、業況の改善には至りませんでした。
店舗別に売上高だけでなく、食材原価、人件費、家賃、光熱費、廃棄損失まで確認し、赤字が続く店舗には早期の撤退基準を設ける必要があります。
食材価格が上昇した段階で、全商品を一律に値上げするのではなく、原価率の高い商品を中心に価格や量、仕入れ先を見直すことで、利用者への負担を抑えながら利益率を改善できた可能性があります。
飲食事業の譲渡や店舗単位のスポンサーを探す
地域で知名度があり、固定客を持つ店舗であれば、会社全体ではなく店舗やブランド単位で事業譲渡を検討できる場合があります。
経営状況が深刻になる前に、同業者や地域企業へ事業承継を打診していれば、店舗、雇用、取引関係を残せる余地が広がった可能性があります。
ただし、実際にスポンサー候補が存在したか、事業譲渡の交渉が行われていたかについては明らかになっていません。
金融機関や支援機関へ早期に相談する
資金繰りが厳しくなる前に、金融機関、税理士、中小企業活性化協議会などへ相談することも重要です。
早い段階であれば、返済条件の変更、関連会社を含めた事業計画の見直し、事業譲渡、スポンサー探索など、複数の再建策を検討できた可能性があります。
倒産回避策の優先順位
売上高が急減している企業では、新しい売上を作る施策だけでなく、手元資金がいつまで持つのかを把握し、資金流出を止める対策が優先されます。
今回の2社で必要だったと考えられる対応を、緊急度に応じて整理します。
| 優先度 | 必要だったと考えられる対策 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 最優先 | グループ2社を合算した13週間資金繰り表の作成 | 支払い不能となる時期と必要資金を早期に把握する |
| 最優先 | 関連会社への新規貸付と追加資金支援の見直し | 本業からの過度な資金流出を防ぐ |
| 高 | PCR検査需要の消失に合わせた固定費の縮小 | 通常需要でも利益を確保できる事業規模へ近づける |
| 高 | 飲食店ごとの採算確認と撤退基準の適用 | 不採算店舗による赤字拡大を抑える |
| 高 | 商品別の価格改定と仕入れ条件の見直し | 食材価格上昇による利益率低下を抑える |
| 中 | 店舗や事業単位での譲渡先・スポンサー探索 | 雇用やブランド、取引関係を残す選択肢を増やす |
| 中長期 | 感染症関連需要に依存しない検査サービスの開拓 | 特定需要の消失に耐えられる収益構造をつくる |
もちろん、これらの対策を講じていれば、必ず破産を回避できたと断定することはできません。
両社内部の資金状況、借入条件、貸付金の内容、店舗別の収支などは、公表された情報だけでは分からないためです。
それでも、PCR検査需要が減少し始めた段階で事業規模を調整し、関連会社への貸付や不採算店舗を早期に見直していれば、資金繰り悪化を抑え、事業継続の選択肢を増やせた可能性があります。
まとめと今後の展望
エフエムエルサービスとくれたけは、2026年7月30日に鳥取地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました。負債総額は2社合計で約13億1000万円です。
エフエムエルサービスでは、PCR検査需要によって一時的に売上高が回復したものの、特需終了後は2023年9月期の10億円から2025年9月期の2億9500万円まで急減しました。
くれたけでは、飲食店の集客低下、食材価格の上昇、十分な価格転嫁ができなかったことなどにより赤字が続きました。不採算店舗の閉鎖を進めたものの、関連会社に連鎖する形で破産に至っています。
今後は破産管財人によって資産や債権の調査が進められ、店舗設備やブランド、未払い代金、従業員の雇用などが整理される見通しです。
今回の事例から得られる教訓
・一時的な特需を恒常的な売上とみなさない
・需要消失後を想定した縮小計画を準備する
・関連会社への資金支援に上限と終了条件を設ける
・飲食店では商品別、店舗別の採算を継続的に確認する
・経営危機が深刻になる前に事業譲渡や外部支援を検討する
社会への警鐘
一時的に売上高が回復していても、その収益が特定の制度や特殊需要に支えられている場合、環境の変化によって急速に失われることがあります。
また、地域で高い知名度を持つ飲食店であっても、原材料費や固定費、関連会社との資金関係が悪化すれば、事業継続が困難になる可能性があります。
売上高の大きさだけではなく、利益率、手元資金、借入金、貸付金、店舗別採算まで継続的に確認することが、持続的な経営には欠かせないといえるでしょう。
最後に
前日まで営業していた店の明かりが突然消える出来事には、負債額や売上高だけでは表せない寂しさがあります。
その店を支えてきた従業員や納入業者、食事の思い出を持つ利用者にとって、今回の閉業は生活や地域の風景にも関わる出来事です。
PCR検査特需の終了と飲食業のコスト上昇が重なった今回の破産から、企業はどの段階で変化に備えるべきだったのでしょうか。身近な名店の突然の幕引きは、地域企業を支える難しさを改めて問いかけています。




