入社して数週間から数か月で「もう辞めたい」と感じる新卒社員は少なくありません。厚生労働省の調査によると、大卒新入社員の約12パーセントが入社1年以内に離職しており、その多くが入社直後の期間に退職を決意しています。しかし入社直後の辞めたい気持ちが、環境に慣れていないことによる一時的なものなのか、本当にその会社が合わないのかを見極めることは重要です。本記事では入社直後に辞めたいと感じたときの判断基準と、慣れるまでの具体的な対処法について詳しく解説します。
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入社直後は誰でもしんどい理由
入社直後に辞めたいと感じるのは、能力不足や会社との相性以前に、環境の激変によるストレスが大きな要因です。学生時代は自分でスケジュールを調整できる余白がありましたが、社会人になると毎日決まった時間に出勤し、8時間以上働き続ける生活に変わります。さらに知らない人たちに囲まれ、分からないことばかりの業務をこなさなければなりません。用語も仕事の流れも分からない状態で、ミスをしないよう常に緊張している状態は、想像以上に心身を消耗させます。これは会社の良し悪しに関係なく、誰もが通る道です。
特に真面目な人ほど「早く戦力にならなければ」「同期に遅れたくない」「上司に迷惑をかけたくない」と焦ります。しかし新人が数週間や数か月で戦力になることは期待されていません。この焦りが疲労を加速させ、「自分はこの会社に向いていない」という誤った結論に至らせます。
入社直後のしんどさは、能力の問題ではなく時間の問題です。どんなに優秀な人でも、新しい環境に慣れるには一定の期間が必要です。この前提を理解するだけで、辞めたい気持ちの扱い方が変わります。
一時的なストレスと構造的な問題の見極め方
入社直後に辞めたいと感じたとき、それが一時的なストレスなのか、その会社に構造的な問題があるのかを見極める必要があります。一時的なストレスは時間が解決しますが、構造的な問題は時間が経っても改善されません。一時的なストレスの例としては、仕事が覚えられない、ミスが多い、同期と比べて遅れている気がする、上司に質問するのが怖い、といった新人特有の悩みがあります。これらは経験を積むことで必ず改善されます。3か月から半年もすれば、基本的な業務は回せるようになり、余裕も生まれます。
一方で構造的な問題としては、長時間労働が常態化している、パワハラやモラハラがある、求人票と実際の業務内容が全く違う、給与が約束と異なる、社会保険に加入させてもらえない、といった深刻なものがあります。これらは時間が経っても改善されず、むしろ健康を害するリスクがあります。
見極めのポイントは、問題が自分の慣れで解決できるものか、会社のシステムや文化に起因するものかです。前者なら時間をかける価値がありますが、後者なら早めの退職を検討すべきです。特に健康を害するレベルの労働環境や、明らかな法律違反がある場合は、無理に続ける必要はありません。
慣れるまでの期間はどれくらいか
一般的に新しい環境に慣れるまでには3か月から半年程度かかると言われています。最初の1か月は全てが新しく、緊張の連続です。2か月目から3か月目にかけて、基本的な業務の流れが分かり始め、少しずつ余裕が出てきます。半年を過ぎる頃には、一通りの業務を自分で回せるようになります。ただしこの期間は個人差があります。業務の複雑さ、職場の雰囲気、上司の指導スタイル、本人の性格などによって、慣れるスピードは変わります。慣れが早い人もいれば、1年かかる人もいます。他人と比較せず、自分のペースで進むことが重要です。
また慣れるまでの間は、意識的に休息を取ることが大切です。平日は疲れを溜めないよう早めに寝る、休日は仕事のことを考えずリフレッシュする、趣味の時間を確保するなど、心身の回復に努めましょう。疲労が蓄積すると、正常な判断ができなくなります。
慣れてくると、最初は辛かったことが当たり前になり、余裕を持って仕事ができるようになります。そのタイミングで改めて「この会社で続けられそうか」を判断することをおすすめします。入社直後の疲労がピークの時期に重大な決断をするのは避けるべきです。
入社直後に試すべき5つの対処法
入社直後に辞めたいと感じたとき、すぐに退職を決断する前に試すべき対処法があります。1つ目は、分からないことを素直に質問することです。新人が分からないのは当然であり、質問しないで間違える方が問題です。最初の数か月は質問が許される期間なので、遠慮せず聞きましょう。2つ目は、メモを徹底的に取ることです。同じことを何度も質問するのは避けたいものです。メモを取る習慣をつけると、業務の全体像が見えやすくなり、自分で解決できることが増えます。また上司からの評価も上がります。
3つ目は、同期や先輩とコミュニケーションを取ることです。同じ悩みを抱えている同期と話すだけでも気持ちが楽になります。また数年前に同じ経験をした先輩に相談すると、具体的なアドバイスがもらえます。一人で抱え込まないことが重要です。
4つ目は、小さな成功体験を積み重ねることです。最初は簡単な業務でも、自分でできるようになったことを認識しましょう。できることが少しずつ増えていくことを実感すると、モチベーションが維持しやすくなります。
5つ目は、生活リズムを整えることです。睡眠不足や不規則な食事は、精神的な不調を引き起こします。早寝早起き、3食しっかり食べる、適度な運動をするといった基本的な生活習慣を守ることで、ストレス耐性が上がります。
早期退職のメリットとデメリット
入社直後に退職を決断する場合、メリットとデメリットを理解しておく必要があります。メリットとしては、合わない環境で無理に働き続けるより、早めに軌道修正できることが挙げられます。特に明らかなブラック企業や、心身の健康を害するレベルの職場なら、早期退職は正しい選択です。また若いうちは転職市場でも柔軟に受け入れられやすいです。第二新卒として扱われる入社3年以内であれば、再就職のチャンスは十分にあります。ポテンシャル採用を行う企業も多いため、経験不足をカバーできます。
一方でデメリットもあります。最も大きいのは、転職活動で退職理由を説明する必要があることです。入社数か月での退職は、採用担当者に「すぐ辞めるのでは」という懸念を抱かせます。説得力のある理由を用意しないと、次の就職が難しくなります。
また短期間で複数回転職を繰り返すと、職務経歴書の印象が悪くなります。1社目を早期退職する場合は、2社目では最低でも3年程度は勤める覚悟が必要です。転職を繰り返すと、最終的には正社員として雇用されにくくなるリスクがあります。
さらに失業期間が長引くと、金銭的な不安も生じます。退職前に次の就職先を決めておくか、ある程度の貯金を用意しておくことが重要です。勢いで辞めてしまうと、焦って条件の悪い会社に入ってしまう可能性もあります。
相談すべき相手と相談してはいけない相手
入社直後に辞めたいと感じたとき、誰に相談するかは重要です。適切な相手に相談すると客観的なアドバイスがもらえますが、不適切な相手に相談すると問題が悪化することもあります。相談すべき相手としては、まず職場の先輩社員が挙げられます。特に数年前に新人だった先輩は、同じような悩みを経験している可能性が高く、具体的なアドバイスをくれます。また人事部や研修担当者も、新人の悩みに対応する役割があるため、相談先として適しています。
社外の信頼できる友人や家族も良い相談相手です。利害関係がないため、客観的な意見を聞けます。特に社会人経験のある友人は、自分の会社と比較した視点を提供してくれます。また大学のキャリアセンターや転職エージェントも、プロの視点からアドバイスをくれます。
逆に相談してはいけない相手は、同期や後輩です。同じ立場の人に相談すると、お互いに不安を増幅させてしまう可能性があります。また直属の上司に「辞めたい」と相談するのも慎重に判断すべきです。改善の意思がある上司なら良いですが、関係が悪化するリスクもあります。
SNSでの愚痴も避けるべきです。匿名でも特定されるリスクがあり、会社に知られると立場が悪くなります。また一時的な感情で投稿すると、後から後悔することもあります。相談は信頼できる個人に限定し、公の場での発言は控えましょう。
それでも辞めると決めたときの手順
慎重に検討した結果、やはり退職すると決めた場合は、適切な手順を踏むことが重要です。まず就業規則で退職の手続きを確認します。多くの会社では退職希望日の1か月から2か月前に申し出る必要があります。法律上は2週間前でも可能ですが、円満退職のためには余裕を持った申し出が望ましいです。退職を伝える順序も重要です。まず直属の上司に口頭で伝え、了承を得てから退職届を提出します。上司を飛ばして人事部に直接連絡すると、上司との関係が悪化し、退職までの期間が働きにくくなります。
退職理由は「一身上の都合」が基本です。会社への不満を述べると、引き止めに遭ったり、嫌がらせを受けたりするリスクがあります。ポジティブな理由(新しい挑戦、スキルアップなど)を伝えると、円満に退職しやすくなります。
退職が決まったら、業務の引き継ぎをしっかり行います。後任者へのマニュアル作成や、取引先への挨拶など、最後まで責任を持って対応しましょう。立つ鳥跡を濁さずの精神で退職すると、将来的に良い評判として残ります。
また退職前に次の就職先を決めておくことが理想的です。無職期間が長引くと、焦って条件の悪い会社に入ってしまう可能性があります。在職中に転職活動を進め、内定を得てから退職を申し出る方が安全です。
要点まとめ
入社直後に辞めたいと感じるのは、環境の激変による一時的なストレスが大きな要因です。新人が数週間で戦力になることは期待されておらず、慣れるには3か月から半年かかります。一時的なストレスと構造的な問題を見極め、改善可能なら時間をかけて様子を見ることが重要です。明らかなブラック企業や健康を害する環境なら早期退職も選択肢ですが、慎重に判断しましょう。
入社直後に辞めたいと感じるのは、環境の激変による一時的なストレスが大きな要因です。新人が数週間で戦力になることは期待されておらず、慣れるには3か月から半年かかります。一時的なストレスと構造的な問題を見極め、改善可能なら時間をかけて様子を見ることが重要です。明らかなブラック企業や健康を害する環境なら早期退職も選択肢ですが、慎重に判断しましょう。
よくある質問
Q1. 入社1か月で辞めるのは非常識ですか法律上は問題ありませんが、社会的には早すぎると見られることが多いです。ただし明らかな労働基準法違反やパワハラがある場合は、健康を優先して退職すべきです。一時的な辛さなのか、構造的な問題なのかを見極めた上で判断しましょう。最低でも3か月は様子を見ることをおすすめしますが、心身に深刻な影響が出ている場合は早めの決断も必要です。
Q2. 辞めたい気持ちを同期に話してもいいですか
同期との関係性によりますが、基本的には慎重に判断すべきです。お互いに不安を増幅させてしまう可能性があります。また同期から上司や他の社員に情報が漏れるリスクもあります。相談するなら、信頼できる先輩社員や社外の友人、家族など、利害関係のない人を選ぶ方が安全です。
Q3. 入社直後に辞めた場合、履歴書に書く必要がありますか
数日から数週間程度の極めて短期間なら書かない選択肢もありますが、社会保険に加入している場合は記録が残るため、正直に書くべきです。1か月以上勤務した場合は必ず記載しましょう。面接では退職理由を前向きに説明できるよう準備することが重要です。嘘をつくと後でトラブルになる可能性があります。
まとめ
入社直後に辞めたいと感じるのは、能力不足ではなく環境の激変によるストレスが主な原因です。新しい環境に慣れるには3か月から半年程度かかり、この期間は誰でもしんどいものです。一時的なストレスと構造的な問題を見極め、前者なら時間をかけて様子を見る価値があります。分からないことを質問する、メモを取る、同期や先輩とコミュニケーションを取るといった対処法を試し、それでも改善が見られない場合は退職を検討しましょう。特に明らかなブラック企業や健康を害する環境なら、早期退職は正しい選択です。ただし退職理由を説得力を持って説明できるよう準備し、次の就職先を決めてから退職することが理想的です。入社直後の疲労がピークの時期に重大な決断をせず、冷静に判断できるまで待つことが、長期的なキャリア形成において重要といえます。


