あなたも一度は手にしたことがあるかもしれません。あの緑のロゴ、温かいカフェラテ──。そんな米国スターバックスで、いま異変が起きています。2024年末までに北米の1%の店舗を閉鎖し、900人を削減するという発表は、コーヒー文化の国アメリカに小さくない衝撃を与えました。背景には「価格」「労働」「価値観」の3つの変化が見えてきます。
米国でスターバックスが大量閉店──何が起きたのか
米メディアによると、スターバックスは北米で約1%の店舗を閉鎖する方針を発表。特にニューヨークでは、50店舗以上が突然の閉店を迎えたと報じられています。経営陣は「財務状況の悪化」を理由としましたが、その背景には消費者行動の変化が隠れているようです。
価格高騰と“節約志向”の拡大──変わる消費者心理
リンクトイン上の調査では、回答者の53%が「スターバックスのコーヒーを飲まない」と回答。その最大の理由は「価格の高さ」でした。コンサル企業テクノミックの調査でも、スターバックスは「全米でもっとも高価なコーヒーチェーン」と位置付けられています。
さらにレンディングツリーの調査では、米国人の8割が「ファストフードをぜいたく品」と捉えており、節約志向が生活に浸透していることが分かります。デロイトの調査でも、コーヒー愛好家の70%が「自宅で淹れる」と回答。高インフレの影響で、“家での一杯”が新たな日常になっているようです。
労働組合問題と企業イメージ──「組合つぶし」批判も
閉鎖予定の店舗のうち59店舗が労働組合に加盟していたと米誌ファストカンパニーは報じました。スターバックスはこれまでも「組合結成を阻止している」との批判を受けてきました。2023年には、労働運動を行っていた23店舗を閉鎖したことで、全米で抗議デモが発生しています。
リンクトインの調査でも、「組合つぶしへの不信感」が購買離れの一因とする声があり、ブランドへの信頼が揺らいでいることがうかがえます。
・スターバックスが北米店舗の1%を閉鎖へ
・主因は価格高騰と消費者の節約志向
・自宅でコーヒーを楽しむ人が急増
・労働組合問題で企業イメージに影響
・ブランド再生の鍵は「共感」と「信頼」
専門家が見る“コーヒー文化の転換点”
食品経済アナリストの間では、「物価上昇が長引く中、嗜好品が日常から切り離されつつある」との指摘が上がっています。とくに若年層では「高いコーヒーを買うより、豆から淹れてSNSで共有する」文化が生まれており、価値の置きどころが変わってきたといえます。
SNSの声──“手軽な贅沢”が変わった
X(旧Twitter)では、「もう毎朝スタバは無理」「最近は家カフェ派」という声が相次ぎました。一方で、「組合を応援するため、買わない選択をした」という投稿もあり、単なる価格問題ではなく“共感消費”の時代に入ったとも言えます。
今後の見通し──企業の信頼回復なるか
スターバックスは「持続可能な成長へ向けた構造改革」と説明していますが、消費者との関係修復は簡単ではありません。節約志向と倫理的消費の両立が問われる中、同社がどのようにブランド価値を再構築していくかが注目されます。
FAQ:よくある質問
A. ニューヨークなど都市部で特に多く、今後も主要都市に波及する可能性があります。
Q2. コーヒー価格の高騰はどのくらい?
A. 米国内では5年前と比べて平均30%近い値上げとなっており、消費者の離反を招いています。
Q3. 労働組合との対立はどう影響?
A. 一部店舗の閉鎖理由が「組合つぶし」と批判され、ブランドイメージの低下を招いています。
Q4. 日本のスターバックスには影響ある?
A. 現時点では国内展開に影響はありませんが、世界的なコスト構造見直しの動きは注視が必要です。
スターバックスの大量閉店は、単なる経営判断ではなく「時代の価値観の変化」を映す鏡でもあります。価格、労働、倫理──。これからの消費者は「何を飲むか」よりも「どんな企業から買うか」を選ぶ時代に。コーヒー1杯の背景に、私たちの社会が問われています。