北海道厚岸町で食肉用馬の繁殖・育成を手がける小師馬商が、民事再生手続きに入りました。負債総額は約29億1000万円に上りますが、事業は継続しています。
なぜ再生手続きが必要になったのでしょうか。公表された情報を基に、事業の仕組み、財務面の課題、今後の見通しを整理します。
・小師馬商は9月14日に民事再生手続きの開始決定を受けた
・負債総額は約29億1000万円で、大半は親会社からの借り入れ
・馬の販売までに長い飼育期間を要し、経費が先行していた
・スポンサーなどの支援を受け、事業は継続している
事案概要|小師馬商が民事再生手続きへ
小師馬商は食肉用馬の繁殖から育成までを手がける企業です。今回の民事再生は事業を終えるための手続きではなく、事業を続けながら財務の立て直しを目指すものです。
北海道放送が帝国データバンクの情報として報じた内容によると、同社は2026年9月1日に釧路地方裁判所へ民事再生法の適用を申請し、9月14日に再生手続き開始決定を受けました。
確認できる基本情報
・会社名:小師馬商
・本社所在地:北海道厚岸町
・設立:2018年12月
・主な事業:食肉用馬の繁殖・育成、営農型発電事業
・手続き:民事再生手続き
・負債総額:約29億1000万円
・管轄裁判所:釧路地方裁判所
・事業の状況:継続中
負債額は大きいものの、その大半は親会社からの借り入れとされています。一般の債権者への弁済については、通常通り行う意向だと報じられています。
事業の仕組みと民事再生までの時系列
小師馬商の食肉用馬事業では、繁殖用の馬を調達してから、育てた馬を市場で販売するまでに時間がかかります。この期間に生じる費用と売上の時期のずれが、事業を理解する鍵になります。
同社は厚岸町や伊達市の牧場で食肉用馬を飼育し、牧場の運営業務などを現地の馬肥育事業者へ委託していました。繁殖によって生まれた馬を3歳程度まで育て、農協が運営する市場で販売する事業です。
公表情報から確認できる流れ
・2018年12月:小師馬商を設立
・2024年9月末時点:約500頭の食肉用馬を肥育
・2025年9月期:売上高約4800万円を計上
・2026年9月1日:釧路地方裁判所へ民事再生法の適用を申請
・2026年9月14日:民事再生手続きの開始決定
同社は、道産子(北海道和種)やブルトン種を繁殖に用いていました。また、農地で太陽光発電と羊の放牧を組み合わせる営農型発電事業も展開しています。
背景分析|販売までの時間と先行費用
今回の経営上の課題として報じられているのは、馬を育てて販売できるようになるまでの期間が長く、その間の経費が先に発生することです。売上だけでは見えにくい資金負担がありました。
報道によると、食肉用馬は商品として販売できる3歳程度になるまで飼育が必要です。事業開始後は経費の先行によって赤字決算が散発し、債務超過の状態が続いていました。
2025年9月期の売上高約4800万円と負債総額約29億1000万円は、対象期間も指す内容も異なる数字です。単純に比べて、その年の売上だけで負債全体を返済する計画だったと判断することはできません。
今回の申請については、グループ全体の財務体質を改善するための措置と報じられています。親会社からの借り入れの詳しい条件や、事業ごとの収支は公表された情報からは分かりません。
現場対応と今後の事業
民事再生手続きに入った後も、小師馬商はスポンサーなどの支援を受けて事業を続けています。馬の飼育や販売を維持しながら、再生に向けた計画をどう進めるかが焦点です。
報道では、今後、親会社の支援のもとで営農型発電事業を強化する方針とされています。一方、具体的な再生計画や事業ごとの収益見通しは、今回示された情報だけでは確認できません。
一般の債権者への弁済は通常通り行う意向とされていますが、取引先や従業員への個別の影響については、確認できる情報がありません。今後公表される計画や事業の動向を見ていく必要があります。
FAQ|小師馬商の民事再生で気になる点
「約29億円の負債があるのに、なぜ事業を続けているのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。現時点で分かっている手続きや事業の状況を、短く確認します。
Q1:小師馬商はどのような会社ですか?
北海道厚岸町に本社を置き、食肉用馬の繁殖・育成や営農型発電事業を手がける会社です。
Q2:いつ民事再生を申請しましたか?
2026年9月1日に申請し、9月14日に再生手続き開始決定を受けました。
Q3:負債総額はいくらですか?
約29億1000万円とみられています。大半は親会社からの借り入れと報じられています。
Q4:牧場の事業は終了するのですか?
事業は継続しています。今後もスポンサーや親会社の支援を受けながら再生を目指す方針です。
倒産回避の可能性はあったのか
今回公表された情報からは、馬の販売前に飼育費用が積み重なる事業構造と、債務超過が続いていた状況が確認できます。この特徴に即して、早い段階で取り得た可能性のある対応を考えます。
・飼育頭数ごとに、販売までに必要な費用と回収時期を見積もる
・繁殖や飼育の規模を、調達できる資金に合わせて段階的に調整する
・赤字や債務超過が続く段階で、親会社などと資金計画を見直す
食肉用馬は育成期間を短縮してすぐに売上へ変えられる商品ではありません。飼育頭数を増やす判断では、将来の販売額に加え、販売までの費用を賄えるかを継続して確認することが重要だったと考えられます。
ただし、同社が実際にどのような資金計画を立て、いつ支援を求めたかは明らかになっていません。これらの対応を講じていれば、必ず民事再生を回避できたと断定することはできません。
再生に向けた対応の優先順位
事業を継続している同社にとっては、育成中の馬に必要な費用を確保しながら、将来の販売収入との釣り合いを取ることが課題になります。公表情報を踏まえた一般的な検討事項を整理します。
| 優先度 | 検討事項 | 目的 |
|---|---|---|
| 高 | 飼育費用と販売時期を踏まえた資金計画 | 販売前に必要な資金を把握する |
| 高 | 親会社・スポンサーとの支援内容の調整 | 事業継続に必要な資金と体制を確保する |
| 中長期 | 飼育規模と収益性の検証 | 事業規模と資金負担の均衡を図る |
| 中長期 | 営農型発電事業の収益見通しの確認 | 新たな収益源としての実効性を見極める |
これらは報道内容から考えられる選択肢であり、同社の再生計画として発表されたものではありません。早期に費用と資金調達の見通しを調整できていれば、事業継続の選択肢を増やせた可能性があります。
まとめと今後の展望
小師馬商は民事再生手続きの開始決定を受けましたが、食肉用馬の事業は続いています。負債総額は約29億1000万円で、その大半は親会社からの借り入れと報じられています。
馬を育てて販売するまでには長い時間と費用が必要です。今後は支援を受けながら飼育事業を安定させ、強化する方針の営農型発電事業をどう収益につなげるかが注目されます。
最後に
牧場で育つ馬は、すぐに売上へ変わるわけではありません。その時間を支える資金と人の仕事が、事業の継続には必要です。
小師馬商は現在も事業を続け、再生を目指しています。今回の手続きが、飼育の現場を守りながら経営を立て直す道につながるのか。今後の計画を見守りたいところです。

