福岡苅田町で鶏レバー食中毒が再発し再び騒動に

事件概要（何が起きたのか）

11月29日夜、福岡県苅田町にある居酒屋「居食屋京」で食事をした男女4人のうち3人が、翌日から下痢・発熱などの症状を訴えました。医療機関で検査を受けた結果、少なくとも2人の検体からカンピロバクター・ジェチュニが検出され、福岡県は同店が提供した料理が原因の食中毒と断定。12月9日から2日間の営業停止命令が出されました。

問題となったメニューは、鶏レバー刺し、うまからきゅうり、穴子の天ぷら、山賊唐揚げ、エビチリ、ポテトサラダ、だし巻き卵、枝豆、おにぎり、刺身盛合せなど多岐にわたりますが、県は特に鶏レバー刺しが生レバー提供による感染リスクが高いと見て調査を進めました。

発生の背景と原因

カンピロバクターは鶏の腸内に広く存在する細菌で、加熱不足や調理器具の二次汚染で簡単に人へ感染します。特に生レバーやレバ刺しは、中心部まで十分に加熱されていない場合に高いリスクがあります。厚生労働省は2012年から牛生レバーの提供を全面禁止しましたが、鶏レバーについては「62℃で1分以上の加熱」など厳格な基準を設けた上で条件付きで提供が認められています。しかし、多くの飲食店がこの基準を満たせていないのが実情です。

今回のケースでも、店側が生レバーまたは加熱不十分な状態で提供した可能性が極めて高いと見られています。また、同一のまな板や包丁で生肉と他の料理を扱ったことによる交差汚染も否定できません。

関係者の動向・コメント

店舗責任者は取材に対し「大変ご迷惑をおかけしました。再発防止に向けて衛生管理を徹底します」と謝罪のコメントを発表。現在は営業停止期間中に全従業員への衛生教育と厨房設備の総点検を行っている模様です。福岡県保健所は「生レバーの提供基準を再確認し、遵守を強く指導した」としています。

被害状況（人数・症状・金額）

被害者は計3人で、いずれも入院の必要はなく自宅療養で回復傾向にあります。主な症状は下痢、腹痛、38℃台の発熱、嘔吐などで、典型的なカンピロバクター食中毒の症状です。治療費や休業補償などの具体的な金額は公表されていませんが、軽症で済んだケースと言えます。

行政・警察・企業の対応

福岡県は速やかに調査を行い、12月9日から2日間の営業停止処分を下しました。同時に近隣飲食店に対しても生レバー提供の基準再確認を通達。厚生労働省も全国の自治体に対し、年末年始に向けた食品衛生指導の強化を指示しています。

専門家の見解・分析

食品衛生の専門家は「鶏レバーの提供基準は非常に厳しく、実際にはほぼ不可能に近い条件」と指摘します。東京の食品衛生コンサルタントは「リスクと利益を天秤にかけた時、多くの店が生レバーをメニューから外すべき段階に来ている」と語ります。また、近年は若年層を中心に生レバー離れが進んでおり、提供を続ける意義自体が問われています。

SNS・世間の反応

X（旧Twitter）では「また鶏レバーか…」「もう完全に禁止にしてほしい」「2日間じゃ甘すぎる」といった厳しい意見が相次いでいます。一方で「地元の美味しい店だったのに…」と残念がる声も見られました。全体として「生レバー提供は時代遅れ」との認識が広がっています。

今後の見通しと影響

今回の処分を機に、福岡県内の多くの居酒屋が生レバーをメニューから削除する動きが加速すると予測されます。全国的に見ても、鶏レバー食中毒件数は減少傾向にありますが、ゼロには程遠い状況です。消費者側も「生レバー＝危険」と認識し、注文を控える傾向がさらに強まるでしょう。