福岡うどんが全国進出　やり・資さん・因幡が快進撃

2025年11月12日2025年11月13日

福岡のうどん文化が、いま全国へと勢いよく広がっています。
「やりうどん」「資さんうどん」「因幡うどん」など、地元で愛されてきたブランドが次々と首都圏や海外に進出。
讃岐うどんが主流だった外食市場に、新たな“柔らか麺旋風”を巻き起こしています。

この記事では、各社の展開戦略や成功の背景、経済的な影響を分析しながら、地域発ブランドが全国に挑む今の潮流を解説します。

この記事で得られる情報

福岡うどんの快進撃が始まった理由

福岡県発のうどんチェーンが勢いを増している背景には、「味の個性」と「経営力」の両輪があります。讃岐うどんのコシとは異なる、柔らかく出汁が香る“福岡スタイル”が、首都圏でも受け入れられています。

博多やりうどん、香港で海外1号店を開店

西日本鉄道グループが展開する「博多やりうどん」は、2025年10月、香港の繁華街・尖沙咀（チムサーチョイ）に海外1号店をオープンしました。名物の「ごぼう天うどん」は長さ32センチもの迫力。柔らかい麺に香り高い出汁が絡む独自の味が現地でも好評です。社長の林田浩一氏は「出汁文化のある東南アジアへの展開を視野に入れている」と語り、今後も複数国での出店を検討しています。福岡の味がアジア市場にどこまで通用するか注目が集まっています。

資さんうどん、すかいらーく傘下で首都圏進出を加速

北九州市の「資さんうどん」は、すかいらーくグループ傘下入りを機に全国展開を加速。 2024年12月に千葉県で関東1号店を開店し、翌年には東京・埼玉・神奈川などで12店舗を展開するまでに成長しました。関東での売上は、すかいらーく系列の他業態の約3倍に上り、顧客満足度の高さが際立ちます。さらに2026年には台湾への進出も計画しており、「資さんうどん」のブランドが国境を越える日も近いでしょう。

因幡うどん、東京・原宿に初出店で好調な滑り出し

「一風堂」で知られる力の源ホールディングスが運営する「因幡うどん」は、2025年春に東京・原宿へ県外初進出。柔らかい麺と澄んだ出汁に初めは驚かれるものの、訪日客にも好評でリピーターが増えています。運営担当者は「見た目の素朴さと味の深さが逆に新鮮」と語り、都市型店舗として成功を収めつつあります。

うちだ屋も関東進出を計画、九州発ブランド連鎖に

福岡市の「うちだ屋」も関東出店を検討中。九州ブランドのうどんが首都圏で次々と店舗を構える“福岡うどんムーブメント”が進行しています。九州経済調査協会の得能万里奈研究員は、「物価高の中で手頃な価格と出汁文化への親和性が支持されている」と分析。また、福岡駐在経験者が関東に多いことも、味の浸透を後押ししているといいます。